執筆者:佐藤(栄)
はじめに
大学院1年佐藤(栄)が、2024年9月4日~9月6日に開催された第19回YANSシンポジウム(YANS2024)に参加しましたので、ここに参加報告を記します。
- YANSとは?
- プログラム
- 発表について
- おわりに
YANSとは?
YANSとは、主に自然言語処理関連分野の若手研究者、技術者間の交流や技術発展を目的とした、年に一度開催されるシンポジウムです。同分野の年次大会と比べると、学生の割合が多く企業との交流も盛んに行われている印象です。
昨年に引き続き、今年も単身での参加となりましたが、ラウンドテーブルやYANSスペシャルセッション 「ネットワーキングの極意(友達の作り方)」といった企画もあることから、YANSはぼっち参加にも優しいシンポジウムといえるでしょう。
仮に話し相手が居なくとも、活発なコメントが飛び交うSlackを眺めているだけでも楽しめます。
また、YANSには旅費補助の制度があり、今回はこちらの制度を利用して参加しました。
北海道から参加しなければいけない私にとっては、非常にありがたい制度です。
プログラム
ここからは、大まかなプログラムに沿って雑感を述べていきます。
詳細なプログラムは、こちらをご覧ください。
1日目
1日目は日程の都合で参加できませんでしたが、留学交流会とハッカソンが行われました。
※YANSシンポジウム参加者であっても、1日目は任意参加となります。
留学交流会
東京都立大の相田さん、甲南大の永田さんにより、海外の大学で研究をする際のTipsが紹介されました。
分野交流ハッカソン
今年のハッカソンでは、マルチモーダルデータを用いたテキスト生成リーダーボードが開催されました。大喜利と川柳の2つの部門に分かれ、いかにしてお題に沿った秀逸な回答を生成できるかが競われました。
去年のYANSシンポジウムでは、私もハッカソンに参加しましたが、今年は倍くらいに参加者が増えたようで驚きました。参加したかった…!
余談
私にとって、1日目は移動日でした。会場は大阪だったので、北海道からの飛行機を降りた際には、その気温と湿気からプールサイドに降り立ったかのように錯覚しました。
会場の梅田スカイビルは、梅田駅から歩いて5~10分の所にあります。特徴的な建物だったので、遠くからでもすぐに目指すべき方向が分かりました。
2日目:シンポジウム①
チュートリアル(1)
国立情報学研究所の佐藤さんのチュートリアルからシンポジウムは始まりました。「ニューラルネットワークの損失地形」という一見難解そうなタイトルでしたが、グラフィカルな解説によって理解のしやすい講演でした。
内容が気になる方は、発表スライドが公開されていますので、ぜひご覧ください。
ポスターセッション
ポスターセッション(ポスター発表)とは
学会発表には、主に口頭発表とポスター発表の2種類があります。
口頭発表は、スライドを用いて一方的に説明を行い、その後質疑応答を行う形式です。つまり、説明と質疑応答が比較的長い時間をかけて1ターンで行われます。
ポスター発表は、大きなポスターの前に立ち、集まった聴講者に一通りの説明を行い、都度質疑応答が行われる形式です。聴講者が時間内(今回は1時間)に何度も入れ替わるため、説明と質疑応答が短い時間で数ターン行われます。
シンポジウム1日目には、全5回中3回のポスターセッションが行われました。私の発表は2回目のセッションだったので、1回目のセッション中にスポンサーブースを訪問するという作戦を採りました。
どうしても聞きたい発表のみ聞きに行き、それ以外をスポンサーの方々と交流する時間に充てることで、緊張をほぐしつつ自身の発表の宣伝をするという目論見でした。
去年のYANSシンポジウムは、私の人生初ポスター発表であったため、発表までの時間は他の参加者の発表を聞きに行き、ポスター発表の勝手を知る時間に充てました。
このように、発表経験や発表順なども考慮しながら、発表までの時間をどう過ごすかを決めるのがオススメです。
スポンサーセッション
スポンサーセッションでは、各スポンサーが登壇し、自社の強みや研究領域などを短い時間で紹介していました。
特に、ゴールドスポンサー企業の発表時間は1分と非常に短いものでしたが、その分伝えたいことが凝縮されていて、個人的には非常に面白く聞くことができました。時間切れパターンもそれはそれで盛り上がっていました。
ラウンドテーブル
ラウンドテーブルでは、自身の希望ジャンルごとに割り振られたグループで、各20分間のフリートークを行いました。1回目は「知識獲得・情報抽出」、2回目は「学部卒・修士卒のキャリア」のトークに参加し、現状の課題や悩みについて語り合いました。
YANSスペシャルセッション
シンポジウム1日目の締めは、YANS運営委員の方々による「ネットワーキングの極意(友達の作り方)」を題したセッションでした。
ぼっち参加の私にもってこいのトピックで、委員の方々にゆるーく極意を伝授していただきました。
2日目:シンポジウム②
チュートリアル(2)
シンポジウムの2日目は、Turing株式会社の荒居さんによる「生成AIの二大潮流と自動運転」と題したチュートリアルから始まりました。自動運転技術における生成AIの活用例は非常に興味深く、Slackでも質問が活発に飛び交っていました。
目指せ国際会議
研究活動の大きな目標となりうる国際会議について、参加経験のある若手研究者や学生の体験記を紹介するコーナーもありました。登壇者の方々の優秀さにあてられ「すごいな…」という感嘆が漏れるばかりでしたが、国際会議の勘所を知ることができ勉強になりました。
クロージング
YANSシンポジウムの締めとなるクロージングでは、主に表彰が行われました。なんと、株式会社エクサウィザーズ様よりスポンサー賞を頂きました。
やはり良い評価を頂けるのはうれしいもので、今後の研究の大きなモチベーションとなりました。
また、スポンサー賞といえば豪華な副賞(iPad、キーボード、オーディオ機器、高級肉などなど)といったところがありますが、エクサウィザーズ様からは副賞としてPCモニターを頂きました。
ちょうどモニターの購入を検討しており、偶然ながら先にモニターアームを購入していたので、少々運命的なものを感じました。
発表について
YANS2024_S2-P24_佐藤栄作私は、「有価証券報告書を対象とした質問応答タスクのデータセット構築とLLMを用いた手法の評価」という題で発表をしました。
やはり緊張はありましたが、それ以上に議論の充実感や意見を頂けるありがたさを実感できました。
予想を上回る方々に発表を聞いていただけて、1時間の発表時間はあっという間に感じられました。
しゃべり続けて喉がカラカラになってしまったので、水分は余裕をもって用意することをオススメします。
おわりに
この度は、遠方からの参加であったのにも関わらず、旅費補助により大変低い経済的負担でYANSに参加することができました。心からお礼申し上げます。
YANSシンポジウムは、大学院に同期や先輩がいない私にとって、交流の輪を広げたり、参考になる意見を得られたりと、非常にありがたい場となっています。
大学院生や企業の方はもちろん、シンポジウム未経験の学部生も、来年のYANSシンポジウムに参加してみるのはいかがでしょうか。あたたかな雰囲気のコミュニティが歓迎してくれるはずです。
また、スポンサー賞に選んでいただいた株式会社エクサウィザーズ様をはじめ、運営委員の皆様や各社スポンサー様、私と交流を持ってくださった方々にも、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。